少し振り返ると、今月18日にドル/円は一目均衡表の日足「雲」下限の水準を試したところで下げ止まり、一旦は157円台後半まで切り返す動きを見せた。個人的には「もう少し戻りを試す動きが続くのでは」と考えていたが、現実はそう甘くなかった。
23日に、あらためて日足「雲」を下抜ける動きとなり、翌24日には18日安値をも下抜けたことで、むしろテクニカル面での下支えが失われ、積み残されていた円ショートの巻き戻しが加速したうえ、新規に売りで参入する向きも現れた模様である。
その結果、25日には一時的にも152円割れの水準まで下値を試しに行く場面もあったわけだが、同日の日足ロウソクは長い下ヒゲを伴う「下影陽線」となり、11日を起点としたドル/円の大幅な調整局面は「ひとまず一巡した」との感が強まっている。
ちなみに、直近(25日)安値の水準というのは、5月3日安値=151.86円や200日移動平均線(200日線)が位置するところにも近く「非常に重要な節目であった」という点は何より見逃せない。また、同日の終値が154円近辺まで戻ったことで、それを反映する日足の「遅行線」は日足「雲」を下抜けずに済む格好となった。つまり、テクニカルに下げ止まる要素がここにもあったということである。
既知のとおり、11日以降のドル/円の調整は本邦当局による円買い介入観測に始まって、その後、トランプ前米大統領によるドル高けん制発言などが加速させる格好となったわけだが、先週の一段安については今週行われる日銀金融政策決定会合(日銀会合)の結果に対する警戒が強まったという点が大きい。
9月下旬までに自民党総裁選が実施されることを踏まえ、次期総裁候補とされる人たちのなかから「円安(≒物価高)対策としての追加利上げ」を求めるような(国民ウケが良さそうな)発言が飛び出していたことも市場をざわつかせていた。
一部の市場関係者からも追加利上げの実施決定を予想する声は聞かれていたが、そうした見方をする向きは3割程度に留まると伝わる。有力視されているのは「今回、利上げについて協議はするものの、今回の実施決定はない」という見方で、国債買い入れの減額については「2年後に月間3兆円程度にまで減額される」との見方が基本路線となっている模様。その通りの結果となれば、すでに市場も織り込んできており、むしろ一部で燻る追加利上げ期待に伴う円買いの流れが一旦巻き戻される可能性もあると心得ておきたい。
もちろん、追加利上げの実施決定が見送られても、植田総裁が会見の場で「9月利上げ」にオープンな姿勢を示す可能性は十分にあると見られる。その場合、市場は一旦円買いで反応する可能性もあるが、ほどなく米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が明らかとなることも事実で、ここは基本的に様子見で臨むのが賢明ということになるのだろう。
すでに市場は9月米利下げの可能性を9割程度織り込んでいる模様だが、FOMCで「その可能性をどの程度示唆してくるか」はまったくの未知数であり、その“示し方”によっても市場の反応は異なると心得ておかねばなるまい。
一方、ユーロ/ドルは先週24日、25日の終値がそれぞれ1.0839ドル、1.0845ドルで、想定していた通り、6月安値から今月17日高値までの上げに対する38.2%押し(=1.0840ドル処)の節目で一旦下げ渋る格好となっている。
インフレの落ち着きを示す米指標の発表が続いているなかで、基本的にユーロ/ドルは底堅い動きとなっている。FOMCの結果次第では1.0870-1.0880ドル処を試す動きとなる可能性もある。ユーロ圏のインフレには粘着性があるものの、景気減速傾向が強まっていることも事実で、当面は戻り売りのチャンスをうかがいたい。
(07/29 07:40)
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