予想に反して、トランプ氏圧勝で勝利を収めた。選挙戦終盤になって若干ハリス候補が盛り返したかに見えたが、ふたを開けてみれば、接戦州は全てトランプ氏が勝利の勢い。注目されていたペンシルベニア州のトランプ氏勝利で、当選が確定したと一斉に報じられた。まさに雪崩現象でトランプ氏の返り咲きが決まった。
為替市場では、開票中にトランプ氏優勢の報が伝わると(日本時間、11/6 午前11時前)為替相場が動意づき、ドル円は152.75円から上昇を始め、12時頃には154.34円と、今年7月30日以来の高値をつけた。その後いったん利食い売りで153.13円まで下落したが、勝利の可能性が高まったとの続報でそこからドル円は再び上昇、154.38円と今日の高値になった。その後154円挟みで推移し、現在(午後7時半)は153.90円前後で取引されている。
今回の選挙で特筆されることは、ネジレがなくなる可能性が強くなったことだ。上院、下院とも共和党が多数を占める、いわゆるレッドスイープ(共和党全勝)となる。ワシントンポスト紙(NY 11/6 4:14am現在)によると、大統領選挙(過半数270)では、トランプ氏266、ハリス氏224(残り48)だが、他の接戦州を全てトランプ氏が勝利すると、304対227でヒラリー・クリントンを破った前回2016年の選挙結果とほぼ同じになる。
一方議会選挙では、上院(定数100、現在共和49、民主51)は共和51、民主42(残り7)と共和党が多数派を奪還することが確定。また下院(定数435、現在共和220、民主212、欠員3)は、共和194、民主173 で、まだ残り68あるが、共和が優勢との見通しが出ている。大統領選挙投票先の変化を調べた同紙のデータ解析によると、全50州の内ほとんどが共和党シフトがあったと報告されている。終わってみれば、米国の共和党シフトが鮮明になった選挙であったと言える。
さて、第2期トランプ政権はどうなるか。8年前のトランプ1期目もネジレがなかった。上下院とも共和党が多数派を占めていたので、まさにトランプ大統領の思うがまま、政策を実行できた。2025年1月20日の就任式以降、8年前とデジャブの状態となることが容易に想像できる。これから2か月間の間、バイデン大統領はレームダック状態、世界中がトランプシフトが進むことになろう。
金融市場もしかり、政策的には、関税引き上げ、移民制限が明らかにされており、また景気刺激的な政策→財政拡大→インフレ進行→金利上昇→ドル高のシナリオで、すでに金融市場が動いている。米10年債利回りは、時間外だが、すでに4.48%まで急上昇、前日から0.20%も上昇している。為替市場でも、ドルインデックスは105台に上昇、高値105.311と今年7月4日以来のドル高となった。一方ユーロは今年6月28日以来約4か月ぶりの1.07割れ寸前まで下落、また原油は上昇、金は大きく下落となった。NY市場での本格的な取引が待たれる。
さて、FOMCが明日7日に結果が公表される。先週末の雇用統計が、ハリケーン襲来という特殊事情があったにせよ、非農業部門雇用者数がショックとの声が出るほど激減、予想(+100千人)に対し+12千人であった。FRBにとっては政策金利引き下げに願ってもない結果であったと想像に難くない。今回も引き下げが予想される。しかも失業率は前月と同じ4.1%であったこと、賃金(平均時給)も年率4.0%と前月(3.9%)より上昇、物価が低下(9月CPI +2.4%)し、実質賃金が上昇していることで、景気底割れの懸念も和らいでいる。FRBの政策許容範囲が広がっていると考えられる。トランプ次期大統領からの政策圧力に対応するための準備として、引き下げ幅は0.25%にとどまると予想する。
さて、今後1週間の相場見通しであるが、ドル円は、151.80-155.20円と短期的にはドル堅調推移と考える。ただトランプ大統領は基本ドル安思考(10月23日付既報)変わらずと見て、いずれドルは低下すると考えている。一方欧州通貨は、対ドルは1.0580-1.0880とユーロ軟調と予想、また対円では163.00-166.00円とややユーロ安と予想する。そして英ポンドドルは、1.2850-1.3050の前週と同じと予想する。
(2024/11/6、 小池正一郎)
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